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上海進出企業に聞く 異国で生かされる日本流賃貸管理術

アフターサービスの充実で5000戸管理目指す

2009年に進出した上海で着実に管理戸数を増やしつつあるのが、シノケン(本社:福岡県福岡市)の上海現地法人、シノケン上海だ。管理戸数は現在2500戸。早期に5000戸の大台に乗せるのが課題。現地で責任者を務める蓑田正一郎氏に話を聞いた。

一年で求められる成果

「こちらの管理委託契約は1年が一般的。ですから一年後に更新してもらう確率をいかに高めるかがポイントです」
 こう語るのは、シノケン上海の蓑田正一郎氏だ。オフィスがあるのは、上海市内の一等地、静安区。ダイキン工業や富士通といった大企業も入居するビルだ。
 蓑田氏によると、上海のオーナーは、1年ごとに管理会社を変えるのが一般的だという。理由は二つだ。長期保育の考えが無いのと、管理会社に対して短期で成果を求める傾向が強いためだという。このため、入居率を維持し収益性を高めることで2年目以降の管理を受託することが、管理戸数を積み上げていく上で重要となる。シノケン上海のオーナー更新率は、75%~80%。ほとんどが1年で契約終了となる現地では、かなり高い数字だといえる。
「もともと日本人は部屋をきれいに使ってくれるという期待があるため、当社のように日本人仲介に強い会社は人気があります」とは蓑田氏。入居者の99%は日本人。大手企業の駐在員やビジネスマンがほとんどを占める。入居率は80%で、入居者のリピート率も75%~80%だという。オーナー募集の方法はもっぱら公告。しかしうたい文句は「管理受託」ではなく、「日本人の入居者募集」だ。地元の飲食店などで配布される日本語のフリーペーパーに、「入居者募集」の広告を出すと、それを見たオーナーから「日本人が入居するなら物件を預けてもいい」と問い合わせが入るのだという。

中国人社員の意識改革

 フィーは、月額家賃の70%。入居時に「一年間のアフターサービス料」として入居者、オーナー双方からもらい受ける。仲介手数料は、賃料の30%で、こちらもオーナー、入居者からもらう。つまり、毎月の管理フィーはない。
 アフターメンテナンスにこだわる同社だが、「入り口のもうけではなく、成約後の管理こそ大事だ」と中国人社員に根付かせるのには苦労したと語る蓑田氏。
「営業時間外は携帯に入居者やオーナーからの電話が掛かってくるようにしてあります。夜中であっても対応するわたしの姿を、当初現地スタッフは“信じられない”といった顔で見ていました」と振り返る。
 しかし、アフターサービスの充実が結果的に、管理拡大や次のビジネスへのきっかけになると、徐々にではあるが伝わりつつあるという。以前は、入居者が付けばよかったが、最近は、契約時に室内設備の点検や不具合をチェックしてくるスタッフも出てきたため、入居の初期段階でトラブルを抑止できるようになった。蓑田氏が上海に来たばかりの頃は、月間60件を超えていた緊急電話だが、現在では月20件程度まで減ってきているという。「とにかくエアコンの故障や水漏れトラブルは後を絶ちません。ここでのトラブル対応に慣れたら、どこの国でも働けそうな気がします」。2500戸すべての室内が頭に入っているほど訪問したという蓑田氏。今後、上海で培った管理術を背景に、エリア拡大にも意欲的だ。篠原英明社長は、「上海から香港までの沿岸部主要都市に拠点をつくりたい」と明言しており、今後上海での経験が生かされていくと考えられる。

決裁早い地元企業のスピードに仰天
シノケン上海 蓑田 正一郎氏(31)

25歳の時、篠原社長の一声で上海に来ました。こちらに来て驚いたのは、オーナー企業が多く、とにかく決裁が早いこと。不動産の場合、「買うかどうかはその場で決めて、その後用途を考える」という人も多いです。日本企業のように物事が決まるまで時間が掛かったり、稟議(りんぎ)書が回るのに何人ものハンコが必要なことはありません。ですから、もたもたしていると、売買にしろ管理にしろいい物件をつかむことはできません。
 当社の場合、社長が月に一度は上海に来て決断をしてくれるので助かっています。取引先からも「中国企業のようだ」と言われるほどです。

2012年09月03日号