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デジタル通貨独自発行 シノケン、家賃や修繕費支払いに

 投資用不動産販売のシノケングループは来春にも、ブロックチェーン技術を使ったデジタル通貨「シノケンコイン」を発行する。同社のアプリを通じ、管理物件の入居者などが現金を使わずにデジタル通貨で家賃や光熱費を支払えるようにする。デジタル通貨を巡っては金融業界などでの開発競争が熱を帯びているが、不動産業者の参入は前例がないという。

アプリ通じ流通
 7月に資本提携したフィンテックベンチャーのチェーントープ(福岡県飯塚市、正田英樹社長)と連携し、2018年春にもデジタル通貨を発行する。まず従業員向けにテストし、問題がなければ不動産のオーナーや入居者にも広げる。
 企業の信用力を後ろ盾にしながら、開発するスマートフォン(スマホ)向けアプリ「シノケンアプリ」を通じて流通させる。改装や修繕といったオーナー向けの費用や、家賃や電気代・ガス代などの入居者向けの支払いをシノケンコインを通じて済ませられるようにする。利用者は振り込み手数料が抑えられるなどの利点がある。
 ブロックチェーン技術を通じ契約から取引を一気に手掛ける「スマートコントラクト」の実装も計画する。例えば、民泊物件の入退去から支払いまで全てをブロックチェーンの基盤に載せて管理することなどを想定する。
 独自通貨の発行に併せ、仮想通貨「ビットコイン」の取り扱いも始める。ただ、ビットコインは1日の価格変動率が数十%に上ることなどから、通貨に必要な「価値の保存」機能が不十分であるとの指摘もある。シノケンコインは日本円との交換比率を1千コイン=1円などと固定する。
 「サトシ・ナカモト」と名のる人物がビットコインに関する論文を08年に公開して以来、既存通貨の問題点を解決する手段として、デジタル通貨に対する期待が高まっている。代表格のビットコインについては10日(日本時間11日)、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)で同コイン先物取引が始まっている。
 国内でも、三菱UFJフィナンシャル・グループがデジタル通貨「MUFGコイン」の開発を進めたり、ハウステンボス(長崎県佐世保市)がテンボスコイン(仮称)」の発行を明らかにしたりするなど、開発競争が加速している。シノケングループによると不動産業者がこうした独自通貨を発行するのは初めてという。

日本経済新聞 2017年12月12日朝刊