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社債で「贈り物」学校支援 寄付型私募債

 企業が資金調達の際に発行する社債の一種で、地域の学校に備品などを寄贈できる「寄付型私募債」が広がりをみせている。債券の引受先となる銀行が、発行額の一部を寄付金として負担する仕組み。企業側は地域貢献の姿勢をアピールできる一方、銀行側も取引先の囲い込みにつながるとあって提案に力を入れている。
 西日本シティ銀行は1月末、不動産業を営むシノケングループ(福岡市)の傘下企業が発行した私募債を引き受け、福岡市の市立特別支援学校8校に計21台のタブレット端末を贈った。
 同グループの篠原英明社長が障害者のサポートを考えていた際、西シ銀から昨年2月に始めた寄付型私募債「つなぐココロ」を提案された。寄贈式で篠原氏から目録を受け取った星子明夫・福岡市教育長は、「ICT(情報通信技術)の教育に活用したい」と謝辞を述べた。
 寄付型私募債は、発行額の最大0.2%分を金融機関が寄付金として負担し、小中学校などに備品を贈るのが一般的だ。寄贈先は「社長の母校」など企業の要望を踏まえ、物品は学校と調整して決めるケースが多く、カメラや実験器具など中身は多岐にわたる。地銀側は企業から得る利息や手数料が収益につながる。
 西シ銀は、今年2月までに「つなぐココロ」の私募債約30件を引き受け、学校側に総額約700万円相当を寄付した。「引き続き資金需要のある企業に活用したい」としている。
 地場の銀行では、肥後銀行も2016年から「学び舎応援私募債」を導入。2年間で75件を引き受け、寄付した品の総額は約900万円相当に上る。取扱期限は3月末に設定しているものの、「ニーズがあるため延長を検討中」だ。昨夏から「地域の芽・育む債」を始めた佐賀銀行も9件(2月末時点)を引き受けた。
 全国的に学校を寄贈先とするタイプが多かった寄付型私募債をめぐっては最近、「世界遺産の保存」や「地方創生」といった目的で現金を寄付するなど、内容が多様化しつつある。地域貢献の個性も競い合いながら、導入を図る地銀や企業が増えていく可能性がある。

読売新聞 2018年3月7日朝刊