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リーマンショック」を払拭、物件開発再開 今期の黒字化確実に 株式会社シノケングループ

 投資用アパート・マンション販売の株式会社シノケングループ(福岡市博多区博多駅南1丁目、篠原英明社長)は、一昨年のリーマンショックの影響で業績を大きく落としたが、昨年秋以降は業績が回復、新規物件開発も活発化してきている。昨年12月には中国の不動産会社買収、株式会社えんとの資本・業務提携など新たな施策を相次いで打ち出した。「今期は間違いなく利益を出す」と自信を見せる篠原社長に聞いた。
                              (取材/松岡伸介)


株式会社えんと資本・業務提携 物件の「出口」を確保

 ‐昨年12月に中国の不動産会社買収、株式会社えんとの資本・業務提携など、続けて新しい取り組みを打ち出されましたね。
 篠原 えん社の原田透社長とは5、6年前からお付き合いがあり、これまでも福岡市内で5、6棟ほど、当社が開発した物件をえん社に1棟買いしていただいています。私と原田社長の間で「連携をもっと強化しましょう」という話になり、当社は福岡の物件をえん社に優先的に開発することで「出口」が確保でき、えん社は自社開発の手間を少なくして販売に力を入れられることでお互いの利益が一致したわけです。
 ‐それならば業務提携だけでもいいのでは。
 篠原 よく言われますが、われわれとしては資本を33%以上取得させていただくことで「本腰を入れてやります」という意思表示です。えん社が地元で培ってきたノウハウを生かせば、販売中心で利益を上げられると思います。われわれが資金を出して提携事業がうまく回転し、えん社の収益が上がれば、当社の利益にもつながり、お互いが「WinWin」の関係になります。また、えん社は当社の物件だけでなく、自社開発も独自に進めていかれますが、資金が必要な場合は当社もファイナンスで応援する態勢です。
 ‐土地の仕入れの方は。
 篠原 他社は分かりませんが、当社は積極的に買っていますよ。しかし東京に比べると福岡はまだ動きが鈍いように思われます。逆にわれわれからするとチャンスも大きいので、良い情報をキャッチしてえん社に供給していきたいですね。
 ‐土地の価格は。
 篠原 下がっているというより、購入者が少ないので、こちらの条件に合う形で相談できるようにはなってきていますね
 ‐賃貸物件の需要自体は。
 篠原 3年ほど前にファンド物件が次々に建って一旦は飽和状態になり、2年前くらいから調整局面に入りましたが、去年から少し物件が不足してきています。今年はほとんど新築がありませんからもっと不足してくるでしょう。そこに当社が供給していきますので、稼働率は上がっていくと思います。それに福岡は今後も人口が増えていきますから、ニーズそのものは底堅いと思います。


中国の不動産会社を買収 現地の事業展開を本格化

 ‐上海の不動産会社・康申房産経紀(上海)有限公司の親会社である香港の佳勝(香港)有限公司の子会社化については。
 篠原 当社は以前、香港の不動産コンサル会社・ステージアキャピタルに約21%出資し、提携していました。情報交換や、協調して事業を進めることはできますが、思いを一つにして仕事するまでには至らず、お互い中途半端な関係でもありました。
 ただ、われわれも中国に現地法人を作って3年たち、中国の不動産情報や人脈とかに関しては相当蓄積できましたので、これからは本腰を入れ、イニシアチブを持って事業展開していくために香港の親会社を買収したわけです。株式は当社が70%、NISが30%持っていますが、代表は私で、当社が主体となって運営する方針です。
 ‐どういった事業ですか。
 篠原 大きな目的の一つは、中国の投資家に日本国内の不動産投資のアドバイスをすることですが、中国で開発する物件のコンサルティングもできますし、他社が開発する中国の物件にわれわれが協力することも考えられます。また、日系企業の中国でのマーケティング受託もあります。数年の経験がありますので、中国の中核都市、上海以外でも北京、深圳、広州などに関する不動産のマーケティングレポートも発行できます。
 ‐いつごろのスタートですか。
 篠原 中国人のスタッフ3人と日本人スタッフ2人で、もう始めています。さらに今後、中国人スタッフの増強を予定しており、陣容を厚くしていきます。また当社では、以前から上海で物件管理を受託し、日本の企業関係の方に賃貸するなどの事業を展開していましたが、今回の買収で、さらにこの分野での拡大を目指し、現地におられる日本人を始め、これから中国へ行かれる方々のお部屋探しなどを強化して、よりサービスに厚みを持たせられるようにします。
 ‐全社に占める中国の割合は。
 篠原 まだまだ小さいものですが、社内に1月から海外事業室という部署を作って、中国人も常駐させ、現地法人と連携を取りながらやっています。


09年12月期は大幅に赤字縮小 10月以降は業績好転

 ‐09年度の業績はいかがでしたか。
 篠原 今回12月決算に変更し、前期は9カ月の変則決算になりました。売上高は119億8200万円、営業損失は3億2400万円、経常損失は8億4800万円、当期純損失は9億5300万円でした。
 第1四半期、第2四半期において、09年3月期の在庫である評価損物件の処理が完了し、その後は粗利率を回復させることができたため、第3四半期(10月〜12月)は営業利益及び経常利益の黒字化を達成できました。また、金融機関からの支援体制も確立できていることから財務諸表の「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消することができました。
 在庫に関して言えば、順調に売却が進んだため、09年3月期末と比較すると販売用不動産が約61億円減少しました。また、未払債務と有利子負債については、約41億円減少しており、債務を圧縮することができています。販管費についても大幅に圧縮できており、今期の業績回復に向けた土台作りはできました。単純に前年の第3四半期と比較すると売上高は8・8%増、営業損失と経常損失はそれぞれ3億300万円、2100万円縮小しました。09年3月期との比較では、営業損失は15億200万円、経常損失は13億4300万円と大幅に縮小できました。
 ‐業況はどうですか。
 篠原 昨年9月ごろまでは、完成物件の引当や在庫物件の処分など前期の流れでやってきた部分が大きいですから、そのあたりまでは業績という意味では厳しかったですね。ただ10月以降は業績も好転して、最終四半期である第3四半期では、先ほど申しましたとおり営業利益及び経常利益は黒字化しています。現場は秋口以降「完全復活」といってもいいくらいの勢いです。
 そういう意味では計画どおりでした。秋口以降はマンション用地、アパート用地の仕込みを再開し、積極的に用地を確保するとともに、再販物件の購入もしており、木造アパートでは今年の3月から4月、マンションでは今秋くらいから、そこで仕込んだ物件が完成してきます。
 今はまだ数字になって表れてきていませんが、はっきり言えるのは、現在、仕込んだ物件は販売済みであり、お客さんが付いて、そのローンも付いている、だから今年の春以降から業績となって表れてくるということです。09年3月期は、不動産販売以外の不動産賃貸管理、ファイナンス、LPガス供給販売といった事業はすべて増収で利益も出ています。ですから今期は不動産販売を含めたすべての事業で黒字を出したいと思っています。
 ‐決算期を12月に変更したのは。
 篠原 一つは早く一段落させて、今期からできるだけ早く利益を出したいという考えです。もう一つは、従来から1〜3月に売り上げが集中していたため、3月でしっかりと計上できないと決算数字が大きく変わる可能性があるわけです。その1〜3月を期中に確実に取り込む目的もあります。そうすると年間計画が大きくぶれませんから。
 また、今年から数字の計上自体もできるだけ1〜3月に集中させず、分散していけるようにするつもりです。


昨年7月、投資ファンドから6億円資金調達 経営のイニシアチブは保持
 ‐09年3月決算では売上高がほぼ半減の約151億円、経常損益は約22億円の赤字でしたね。
 篠原 一昨年のリーマンショックが「直撃」した形です。当社はリーマンと業務提携を結んでアパート購入者向けのノンリコースローンを組成しており、そのローンが付かなくなりましたので、大幅に販売が減りました。
 販売先が決まってリーマンのローンを予定していた物件が40件ほどあり、キャンセルになった物件は、再販の際に2〜3割の値引きを行ったり、その他マンションの開発物件についても引当てを行ったりした結果の数字です。
 ‐当期損失が41億5000万円ほどでしたからね。
 篠原 私としては「よくそれで収まった。」また、「よく引き当てきれた」という思いです。以前に耐震偽装の問題があってから2年後で、まだ「フルアクセル」を踏んで加速しきれていなかったのです。もしも耐震偽装問題がなければ、おそらくもう1ケタ多い損失が出たかもしれません。
 ‐それもあって7月にはNISグループが組成した投資ファンド事業組合から資金調達されましたね。
 篠原 これは中小企業振興ネットワークという組織があり、その中で当社とビジネスの関連性がありそうな数社をピックアップしていただき、ファンドを組んで投資をしてもらったということです。
 一つのファンドですから、NISからの直接の出資ではなく、NISの意向が当社の経営に影響するわけではなく、経営の体制は全く今まで通りで、当社自体がイニシアチブをもって動いています。経営陣についても、ファンドに出資している会社の社長に取締役としてきてもらっていますが、それも非常勤です。
 ‐このファンドから資金調達した約6億円の使途は。
 篠原 支払期限が来る物件に関しての返済や毎月の運転資金などですね。ただ、物件の仕入などについてはそれでは全く足りないので、夏場以降については購入資金など前向きなものは銀行から調達させてもらっています。


今期は経常利益4億円見込む
 ‐今期の業績見通しは。
 篠原 前期において在庫処理が完了し、販管費の圧縮もできていますので、不動産市況の低迷による影響は払拭できたと考えています。予想数値としては、売上高165億円、営業利益7億5000万円、経常利益4億円、当期純利益2億4000万円で黒字化の目処が立っています。ただ、当社の場合、不動産用地の仕入について金融機関の支援体制を確立できていますので、当然これ以上の数字を目指していかなければならないと考えています。
 ‐エリア的に、今後の事業の全体的なバランスは。
 篠原 やはり東京が中心になるでしょう。東京においては、当社子会社の日商ハーモニーの投資用マンションの販売事業が特に好調でして、人員も増強し、売上高の大幅な増加を見込んでいます。今後、えん社との経営資源の共有によるシナジーも期待される事業ですから、当社のコア事業として位置付けています。また、アパート販売事業においても、東京を中心に勢いを取り戻しておりますので、名古屋、仙台、福岡での受注復活と合わせ、今後の業績を楽しみにしていただければと思います。とにかく今期はきちんと利益を出して、株主様やオーナー様の期待に応えて、ご安心していただけるようにしたいですね。

平成22年3月1日発行 ふくおか経済3月号より