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耐震偽装問題への対応で高評価

耐震偽装への対応

——: 耐震偽装問題への影響はいかがでしたか。
篠原: この問題が公になった段階で、バッシングはたくさんありました。しかし私が国会でお話をさせていただいた後は、批判が1か2に対して、8か9の割合で励ましをいただきました。それは責任を果たしたことに対する評価などで、取引先からも私が発言した通りにやってきたことで、評価していただいています。

——: その後の営業活動にも影響はなかったと?
篠原: 現場では、どうしてこのような問題が起こったのかを説明すると同時に、今回のことを機に、二度と同じような問題を起こさないように構造計算については、当社が選んで承認した第三者専門機関で行い、なおかつ、別の第三者検査機関へ再度構造計算をお願いするなど、全ての物件についてダブルチェック体制を行うようにしました。このことをしっかり説明し、ご理解をいただいています。
耐震偽装問題が昨年11月に起きて以降、今年2月までの業績は、前年同期と比べても、ほとんど変わっていません。この間は新聞等による広告媒体活動を自粛していたので、それまで月間400件くらいあった資料請求やお問い合わせが、 100件くらいになりました。一方で既存のお客様から複数の物件を持ちたいというご要望を多数いただきました。“取り合い”のような状況になっているので、余っているのならすぐに商談に来て欲しいといった具合で、改めて当社のビジネスモデルに対する評価を再確認することができました。今後も「安心して暮らせる住まいづくり」と「安心して任せられる資産運用システムの構築」に全社をあげて取り組んでいきます。

——: 解体に至ったのは何物件ですか。
篠原: 5 棟は現在解体中で、この他の2棟のうち1棟は6月末までに解体を終え、残り1棟は補強工事で対応できるので、その方向で対処しています。今後も安全に配慮して、無事に解体作業が完了するようにしていきます。それから今回の事件に絡み、シノケンが買い戻した物件は3月末ですべて売却契約を終えました。

——: 解体費用など、想定外の出費もあったでしょう。
篠原: 解体費用と退去費用を今期の特別損失に引き当てるので、今期決算はダメージがありますが、来期までは持ち越さず、今期中に処理を終えます。

問題を長引かせない

——: そもそもこの問題が出てきたとき、どう思いましたか。
篠原: 最初にこの問題が表面化したとき、これは当社の責任だけではないと思いました。なぜならば、建築の確認申請が許可され、検査機関による検査に合格し、建ててから1年も2年も経っている物件に対して、それが間違いだったからということで、建築業者が全部の責任を負うということはないだろうと。でもこの結果、誰が被害を被るかというと、最終的には購入される個人のお客様です。当社の場合のユーザーは、その個人のお客様に販売するデベロッパーさんでした。だから当社はそのデベロッパーさんに弁済すれば良いのですが、そうなると最終的には区分所有者に売却しているのだから、こことトラブルになることは当然予想できます。そうなると、問題がこじれて長引くと分かったので、当社はそのデベロッパーさんに売却した金額ではなく、そのデベロッパーさんが販売された、要するに最終エンドユーザーさんが買われた金額で買い戻すことにしました。その代わり、区分所有者であるお客様に対する買取り交渉や入居者の退去交渉などはそちらで引き受けていただくように協力をお願いしました。おかげさまで買取り交渉や退去交渉は順調に終えることができました。

——: 借り入れの金利などはどうされました。
篠原: そういう細かいことを言うより、とにかくあの状況で資金を出していただくことの方を急ぎました。金融機関からすれば、篠原英明という人間は姉歯元建築士を知っていたのではないか、グルなのではないかという疑念が当初あったと思います。この点を何度も確認されました。私は、その都度、本当に知らないということを説明し、信頼していただくことができました。木村建設さんとは、発注元としての関係がありますが、それ以外のところとの結びつきはありません。

——: 東京に進出してきたときの知り合いは、当初木村建設しかなかったんですね。
篠原: 元々木村建設さんとは福岡でお取引があり、先に木村建設さんは東京支店を出し、軌道に乗せていましたので、支店開設準備中には東京市場について色々と相談に乗っていただきました。当社が01年に東京支店を開設し、マンションの受注契約がとれたときにはお返ししなければと思っていました。筋を通す意味でも仕事をお願いしていたんです。

——: その後、姉歯氏や破綻した木村建設に損害賠償請求をするとのことでしたが。
篠原: 木村建設さんの管財人に対しては3月末までが期限だったので請求し、姉歯氏についても今、準備をしている最中です。その他の関係先については現時点では、無事に解体作業を完了させることが先決と考えていますので、その後の状況を見ながら十分検討して適切に判断させていただきます。今回の事件は個人的な見解になりますが、それぞれにやはり応分の責任はあると思っています。それが1割か2割なのかという問題はありますが、それは国や裁判所が判断し、その結果に当社は従いますが、ゼロということはないだろうと思っています。

素早い対応がすべて

——: 今回の問題で危機管理対応として、シノケンさんは失ったものより、得たものの方が数倍大きかったですね。
篠原: 太っ腹すぎて、お前は本当に大丈夫かと言われました。(笑)。でもそうしないと、先に進んで行かないと思ったからです。購入されたお客様が一日も早く何とかしたいという気持ちのときに早く対応していくことが先決だと考えました。区分所有のマンションは1人でもトラブルになったら、買取りが進みませんし、売却もできないわけですから。そうなると私が考えた今回の資金調達と返済のスキームが崩れてしまいます。退去費用についても、1件20万、30万というような枠を設けると長引きますし、入居者の方々へのご迷惑を考えるとできるだけご希望に添えるような対応をしました。お客様は被害者であり、当社は加害者です。一方、姉歯氏やその他の関係先に対しては当社が被害者です。いろいろ言いたいことはありましたが、現時点でそれをあえて言う必要性はありませんのでね。

——: ヒューザーも、今回の対応を誤らなければ、潰れることはなかったでしょう。
篠原: とかく批判はありますが、私はヒューザーの小嶋社長は、仕事に対する情熱はあったと思っています。100平米を超えるマンションを相場より安く提供するということで、デベロッパーとして夢とロマンを消費者に与えていたわけです。結果的にはそれが偽装マンションという結果になりましたが、わざわざ法を犯してまでやらないだろうと思います。ただし、これもあくまでも私の個人的な考えですからね。誤解がないようにして下さい。

——: 今後の不動産市場は。
篠原: 金利の上昇と同時に、土地代も上がってくるでしょう。それにつられて賃料も上がってくると思います。過去にも高金利の時期がありましたが、今回はそんなに急激な引き上げはしないということですので、全体のバランスでは、そんなに大きな影響はないと思っています。

——: 首都圏への進出は01年ですが、その前後での変化は。
篠原: それまでは福岡だけでしたが、首都圏に出ることで、東京でアパート・マンション経営をしたいという方だけでなく、地方でやりたいという方もたくさん集まってみえました。アンケートをとり、ご要望が多かったので、04年に名古屋、05年に札幌に進出し、今年5月から6月仙台支店を開設する予定です。

資産づくりを支援

——: シノケンのビジネスモデルを紹介してください。
篠原: 当社は個人のオーナー様向けに、土地建物セットで3千万〜6千万円くらいのアパートを1棟売りで販売してきました。主な購入者層は20代〜30代が全体の 50%、40代が30%で、合わせて80%くらいになります。通常アパート経営というと富裕層相手に行うのですが、当社はごく普通のサラリーマン層、年収では500万〜700万円の方たちが全体の70%近くを占めています。頭金は500万円くらいというところが約65%です。資産活用型で富裕層相手の他社さんと異なり、当社は将来の不安を減らすために資産を形成しようという目的ですから、年金や退職金代わりにやりたいという方が主体です。今までのアパート経営の節税などとは目的が違い、当社は土地と建物を買って、家賃でローンの返済をして、最終的に土地を自分のものにするというのが目的です。当社の独創的な点は、土地から始めるノンリコースローンを東京スター銀行さんと提携してつくったところです。通常は、人の信用力を担保にするのですが、このローンは不動産から上がる収入を担保にして融資を行います。万一返済ができなくなった場合でも、担保物件以外に債務は遡及しません。非常にリスクが限定されています。物件の収益が悪くなったら、そこで清算すればいいのです。このため、普通のサラリーマンや女性、無職や年金生活者の方でも30年ローンが組めるため、客層が非常に広がり、複数の物件を同時に取得することと、借り入れができるようになりました。また各種のコストが同業他社より低いため、他社と比較して初期投資を安く抑えることができます。これらの結果、顧客層が横にも縦にも広がりました。この他、当社はグループ会社として(株)SHC(ファイナンス事業)、(株)エスケーエナジー(LPガス販売事業)(株)日商ハーモニー(不動産の売買、賃貸借、仲介および管理業)を有して、これらの企業とグループを形成することにより、オーナー様ならびに入居者の方々に対して、より高い付加価値を提供しています。今後も引続き各グループ会社間のシナジー効果をより発揮できるような体制をつくっていきたいと思っています。

——: シノケンさんの収益はどこから上がるんですか。
篠原: 建設を請け負うことでの利益と、管理による利益、これが大半です。私が24歳のときにアパート経営を始めたのがこの発端で、このときに土地を買い、30年ローンを組みました。毎月その返済を15万ずつ支払い、このまま30年も払い続けたらいくらになるだろうと計算したところ、買ったときの3倍だと分かりました。でも土地は、30年後に3倍の価格にはならないと思いました。そこで建物を建ててしまおうと。そのとこで更に借金は膨らむけれど、シミュレーションすると、土地がただで手に入るということに気付きました。これが将来資産家になる方法だと思って、組織化してやっていこうと思ったのが始まりです。土地選びから建物管理、融資、入居者の斡旋、家賃の回収など、資産づくりに必要なサービスをワンストップでサポートしている会社は他にありません。

耐震偽装問題で一躍有名になったシノケン。しかし、ヒューザーとは対照的に、対応は迅速で適切だったために、事件が致命傷にならなかった。そんなこともあって、失礼ながら会う前から、非常に興味があった。正直な人、というのが第一印象で、話をするうちにそれが確信に変わった。経済的に失ったものは少なくないが、その正直さで逆に得た信用も大きかったように思う。ビジネスモデルは面白いし、これからの飛躍が期待される。

平成18年4月18日発行 経済界より